インターンで給料は必ずもらえる?無給は法律違反の可能性も

大学生の皆さんの中にはインターンは有給だと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、有給インターンは1割以下です。ほとんどが無給インターンで、給料は必ずもらえるわけではありません。

 短期の仕事体験やワークショップなど体験が主流のインターンは無給のことが多いですが、この場合はインターン生は「労働者」に該当しないので無給でも適法です。

 しかし、インターン生が「労働者」に該当する場合には「労働法」が適用されるので、法律に基づいて適切に給料や残業代などが支払われない場合、有給でも最低賃金以下の場合、不当な長時間労働を強いられる場合などは違法となります。

よく「ブラックインターン」とも呼ばれますが、中には労働法に反して違法なインターンで学生をこき使おうとする悪質な企業も存在するので注意が必要です。

今回は、有給と無給のインターンの違い、インターン生と労働法の関係、違法インターンの具体例、違法インターン参加を予防する方法などについてご紹介します。

目次

インターンには有給と無給がある

インターンには有給の場合と無給の場合があり、期間や内容によって様々です。

基本的には、職場見学や業務体験などの場合は無給で、社員と一緒に「労働」に携わる場合は有給のことが多いです。ただし、給料は出なくても交通費などは支給される場合があります。応募の際にインターンの募集要項をよく確認してみてくださいね。

無給インターン

短期インターンや1day仕事体験は無給のことがほとんどで、セミナー形式やグループディスカッションなどで体験学習したり、職場見学などを行うこともあります。

無給のインターンは有給のインターンに比べて募集が多く、責任を負うことも少ないので、比較的参加しやすいでしょう。また、給料が出なくても交通費や昼食代などはもらえることもあります。インターン全体の9割以上が無給です。

有給インターン

3ヶ月以上の長期インターンの多くが有給ですが、短期インターンで給料がもらえる場合もあります。

無給インターンとは異なり、有給の場合は社員と一緒に企業の利益につながるような実務に携わることが多いので、給料に見合った働きが求められます。有給インターンは責任も伴うので大変な面もありますが、学生のうちから実務に携わる経験ができるので、インターン先企業の業務内容や社内の雰囲気などについて詳しく知ることができます。

インターン生と労働法の関係

インターン生は「労働者」に該当するか?

インターン生と労働法の関係を考える上で、まずインターン生が労働基準法上の「労働者」に該当するかどうかを判断します。

労働基準法第9条により「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されています。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049 【E-GOV 法令検索 労働基準法】

以下のような場合、インターン生は「労働者」に該当すると判断できます。

①インターン生が企業側から業務に関する指揮命令を受けている場合など、使用従属関係がある場合

②インターン生が従事した作業による利益・効果を企業側が得ている場合

インターン生が労働基準法の「労働者」に該当するかについては、以下のような行政通達があります。

 「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」とされています(旧労働省平成9年9月18日基発第636号)。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/intern/guidebook-katsuyo.pdf 【成長する企業のためのインターンシップ活用ガイド】

インターン生が「労働者」の場合は労働法が適用される

インターン生が「労働者」に該当する場合、労働基準法や労働契約法、最低賃金法といった「労働法」が適用されるので、法律に基づいて適切に給料が支払われない場合は違法となります。

また、有給でも最低賃金以下の場合や残業代や経費などが出ない場合、長時間労働を強いられる場合なども違法の可能性があります。

インターン生が「労働者」に該当する場合には労災保険も適用されます。

企業には安全配慮義務がある

インターン生が「労働者」に該当する場合はもちろんですが、該当しない場合であっても、労災保険の適用の有無に関わらず、企業側にはインターン生に対して安全配慮義務を負う必要があります。よって、企業内でインターン生がケガをしたり事故に遭ってしまった場合など、企業側に過失が認められれば損害賠償責任が発生します。

違法インターンかどうかの確認方法

参加しているインターンが違法かどうか怪しいと思った場合は、違法なのかどうか確認しましょう。

ご自身が「労働者」に該当するか

インターン生が「労働者」に該当する場合には労働法が適用されるので、まずはご自身が労働基準法の「労働者」に該当するのかの判断が必要です。

先述のように、①インターン生が企業側から業務に関する指揮命令を受けている場合など、使用従属関係がある場合②インターン生が従事した作業による利益・効果を企業側が得ている場合に該当する場合はインターン生は「労働者」とみなされます。

法律に基づいて適切に給料や残業代などが支払われているか

ご自身が「労働者」に該当した場合、法律に基づいて適切に給料や残業代などが支払われているか確認しましょう。先述のように、給料が支払われていても最低賃金以下の場合や残業代や経費などが出ない場合、長時間労働を強いられる場合なども違法の可能性があります。

心配な場合は1人で判断せずに親やキャリアセンターの職員などにも相談してみるといいですね。

無給でも違法ではない場合も

無給のインターンが全て違法というわけではありません。たとえば、仕事体験や工場見学、ワークショップなどへの参加など企業実務に携わっていない場合は、インターン生は「労働者」には該当しません。よって給料が出なくても適法です。

たとえば、1day仕事体験やサマーインターン、ウィンターインターンなどが無給の適法なインターンの代表例です。

違法インターンの具体例

無給で企業の実務に携わる場合

仕事体験や職場見学ではなく、期間に関わらず企業の利益につながるような実務に携わる場合には、インターン生は給料をもらえます。

しかし、中には無給で企業実務を任せるような違法インターンも存在します。大学生を安い労働力と見なして、こき使おうと考える悪質なブラック企業も存在するので注意しましょう。

内定者が入社前にインターンをする場合もありますが、もしも無給だと言われた場合は違法です。入社が決まっているからといって内定者を無給で働かせるのはおかしいので、そのような企業は入社辞退も考えたほうがいいでしょう。

最低賃金以下の給料しかもらえない場合

インターン生が労働者に該当する場合には、最低賃金法という法律が適用されるため、たとえ給料が支払われても都道府県ごとの最低賃金以下の額の場合は違法となります。

このように有給インターンでも違法になる場合があるので、有給だからと安心せずに十分注意しましょう。

不当に長時間労働や残業をさせられる場合

有給でも不当に長時間労働や残業をさせられるようなインターンも違法です。

インターン生が労働者に該当する場合には、労働基準法により法定労働時間を超えて働いた場合は割増賃金を支払ってもらえます。

しかし、インターン生を安い労働力と見なしているブラック企業などは、割増賃金を支払うことなく不当に長時間労働や残業をさせる場合があります。学生のやる気や責任感に付け込んで精神論などを持ち出してこき使おうとする企業も存在します。

不当な長時間労働や残業は普通ではなく違法なので、企業の言いなりになる必要はありません。違和感を感じたら早めに対処しましょう。

過剰な成果を求められる場合

有給であっても過剰な成果を求められたり、ノルマを課されるようなインターンも違法になる可能性があります。

インターン生はまだ社会人ではなく、社員に比べて経験も少なく未熟な面がたくさんあります。そのようなインターン生に過剰な成果を求めるのは不適切だと言えるでしょう。

違法インターンに参加してしまったら?

家族やキャリアセンターの職員などに相談する

もしも違法インターンに参加してしまったと判明した場合は、まずは家族などの周りの人やキャリアセンターの職員などに相談しましょう。ご自身で解決しなくてはと思ったり、我慢しようと無理することは避けてくださいね。人に相談すると、良い解決方法や対処方法が見つかる可能性もあります。

大学のキャリアセンターでは就活だけではなく、インターンに関する相談にも乗ってもらえます。気を付けていても違法インターンに参加してしまうこともあるので、1人で悩むことなく必ず誰かに相談してみましょう。

未払い分の給料や残業代を請求する

インターン生が労働基準法の「労働者」に該当するのに給料や残業代が支払われなかった場合は違法です。その場合は未払い分の給料や残業代などを請求することができます。もしも最初から報酬額が決まっていなかった場合でも最低賃金分は受け取ることが可能です。

また、最低賃金以下の給料しか支払われなかった場合も、その差額を請求することができます。くれぐれも泣き寝入りしたりせず、正当な権利を主張しましょう。

退職する

未払い分の給料や残業代などを請求した後は、退職することが賢明でしょう。

違法インターンで成長するのは難しく、そもそも学生を不当な条件でこき使うようなブラック企業のために貴重な時間を使うのはもったいないです。インターン終了後にそのような企業に入社するのも避けたほうがいいでしょう。

途中で退職しにくいという方もいらっしゃると思いますが、退職は自由です。違法インターンの被害を最小限にするためにも退職を検討しましょう。

他にも良質な企業のインターンがたくさんあるので、別のインターンを探してみてくださいね。

違法インターン参加を予防するためには

募集要項をきちんと確認する

インターンに応募する際に、求人サイトや企業ホームページなどに記載されているインターンの募集要項をきちんと確認しておきましょう。インターンの期間や内容・給料の有無・報酬額・応募条件などの項目をよく見ておくことが大切です。

給料についての記載がないなど、少しでも怪しい点があった場合には、その企業のインターンには応募しないことをお勧めします。

口コミや体験談を見ておく

募集要項と共に企業の口コミや参加者の体験談も見ておきましょう。

口コミや体験談にはインターン参加者の本音が投稿されていることが多いため、参考になります。違法インターンを募集しているブラック企業については悪い評価や不満などが書かれていることがあるので、そのような企業のインターンの応募は見送るのが賢明でしょう。

まとめ

今回は、有給と無給のインターンの違い、インターン生と労働法の関係、違法インターンの具体例、違法インターン参加を予防する方法などについてご紹介しました。

インターン生が「労働者」に該当する場合には「労働法」が適用されるので、法律に基づいて適切に給料や残業代などが支払われない場合、有給でも最低賃金以下の場合、不当な長時間労働を強いられる場合などは違法となります。

もしも違法インターンに参加してしまったことが判明したら、まずは家族やキャリアセンターの職員などに相談してみましょう。そして未払い分の給料や残業代を請求し、退職するのが賢明です。

違法インターン参加を予防するためにも、応募前に募集要項をきちんと確認する、口コミや体験談を見ておくなどしておきましょう。

有意義な経験ができるような適法のインターンもたくさんあるので、違法インターンに参加しないように気を付けつつ、ご自身に合うインターンを探してみてくださいね。

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この記事を書いた人

東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、都銀での勤務を経験。
結婚後、福井県に移住し、現在はライティング・校正の仕事に従事。
これまで海外留学・インターン・企業研究・皇室関連記事の執筆や
企業HPなどの校正業務を経験。 「インターンバンク」の記事を通じて、
大学生の皆さんの職業選びのお手伝いができれば幸いです。

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